【明治28年発表】
黒猫・その14のつづきエピソード。
お小夜(さよ)の髪を結うために上杉家を訪れた髪結い師のお島(しま)。
憔悴しきったお小夜に理由を尋ねると、お小夜の代わりに下女のお三(さん)がしゃべり始める。
聞けば、お小夜の心を悩ませているのは盲人の富の市(とみのいち)であるとのこと。
たびたび上杉家の家屋に上がり込んでは黙って佇んでいる。
乱暴を働くわけではないものの、手の打ちようがないために却って気味の悪さを際立たせているという。
お島はお小夜に、富の市と縁を切る方法をこっそりと伝授する。
それは、夜中、人目につかないように裏の山にある祠に行き、まじないをするというものであった―――。
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