【鏡花怪異譚】明治29年発表。
龍潭その6・五位鷺(ごいさぎ)のつづきエピソード。
水浴びから上がった美女は、千里に添い寝しながらいくつかの物語を語る。
やがて二人が居るこの場所が「九つ谺(こだま)」と呼ばれることを千里に伝えた美女は、自らの乳房を千里に含ませて眠りへと誘うのだった。
まどろんでいるところへ天井上、屋の棟あたりから凄まじい物音。美女が毅然と音の主を諌めると、音は次第に静まっていった。
それでも恐ろしさに震える千里に美女は、蒔絵箱から守刀を取り出して見せるのだったーーー。