2021-04

幻想怪異譚

龍潭譚(りゅうたんだん)・その3〜かくれあそび〜

龍潭譚その2・鎮守の社(やしろ)のつづき。夕暮れ時にたどり着いた神社の境内では、千里(ちさと)と同じ年頃の子供たちがかくれあそびをしている。「かたい」と呼ばれるこの集落の子供たちと千里とは普段は交流することはない。しかし人恋しさと安堵から、千里は請われるままにかくれあそびの輪に加わる。隠れる者を探す鬼役となった千里が顔を覆って待っていると、いつしか人の気配は消え、滝の音と木々を揺らす風の音がするばかり。黄昏の境内に千里はひとり取り残されてしまう。途方に暮れていると、いつの間にか傍らに美しい女性が微笑んで立っているのだった―――
幻想怪異譚

龍潭譚(りゅうたんだん)・その2〜鎮守の社(ちんじゅのやしろ)〜

龍潭譚・その1~躑躅(つつじ)か丘~のつづき。躑躅の迷路に囚われてしまった少年・千里。見渡す限りに咲き乱れる赤躑躅から逃れるため、大波のように起伏する坂道を走り回るが、出口が見つからない―――。
幻想怪異譚

龍潭譚(りゅうたんだん)・その1~躑躅か丘(つつじかおか~)~

明治29年発表。 少年・千里は優しい姉の言いつけを肯(き)かずに、こっそりと家を出て遊びに行く。 燃え盛るように赤い躑躅の繁みへと足を踏み入れると、五色にきらめく美しい「毒虫」が千里の顔をかすめる。 毒虫退治に夢中になり躑躅の迷路を駆け回っているうちに、千里の視界は赤い躑躅ばかりに塞がれて、自分がどこから来たのか、どこへ行けばよいのか道に迷ってしまう―――。