幼い頃の記憶

明治45年発表 鏡花自身が少年だった頃の忘れえない思い出を綴ったエッセイ。

幼かった鏡花少年は、母との船旅で乗り合いになったひとりの年若い女性と出会う。

色が白く美しいその女性は周囲に馴染もうとせず、どこか寂しげに、ひとり水面や空を見つめているのだった。

女性とのただ一度きりの邂逅は、夢か、現(うつつ)か、それとも前世の光景かーーー。