幻想怪異譚

幻想怪異譚

黒猫・その8

黒猫・その7の続きエピソード。謎の女、お島(しま)。 実は腕の良い髪結いで、新橋の名妓の嫁入りに付き従って、この田舎町へとやってきたのだった。 お島は金銭にほだされることなく己の眼力で客を選ぶという、見た目に違わぬ気性の持ち主。そんなお島が向かったのは、粗末なあづまやであった。 そこに住まっていた人物とは――(タイトルクリックでページを開く)
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黒猫・その7

黒猫・その6の続きエピソード。 盗賊の襲撃が、謎の女によって仕組まれた八百長だったことを知って絶望する富の市。 女はそんな富の市を憐みつつ、企てのいきさつを語る。 高嶺の花である武家の娘・お小夜への想いを遂げるためには、(タイトルクリックでエピソードを聴く)
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黒猫・その6

黒猫・その5の続きエピソード。 突然現れた謎の女は、千吉に富の市を襲わせた張本人だった。 しかもまた、女と富の市とは顔見知りだという。 女は(タイトルクリックでつづきをよむ)
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黒猫・その5

黒猫・その4の続きエピソード。 富の市(とみのいち)のお小夜への敵わぬ恋と執着心に同情し、富の市を袖にしたお小夜に、怒りにも似た気持ちを抱く盗賊・千吉(せんきち)。 富の市が思いを遂げるために、千吉は(タイトルクリックでつづきをよむ)
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黒猫・その4

黒猫・その3の続きエピソード。 盲人の富の市(とみのいち)は盗賊に襲われるが、恐るどころか、金品を奪っても良いから殺して欲しいと盗賊に懇願する(タイトルクリックでつづきをよむ)
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黒猫・その3

【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その2の続きエピソード。 清らかな優しさから盲人の富の市に手を差し伸べたお小夜(さよ)。 卑しい心を催した富の市に引き倒され、手籠にされそうになるが、寸でのところで釣りから帰った弟の秀松(ひでまつ)に助けられる(タイトルクリックでつづきをよむ )
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黒猫・その2

黒猫・その1の続きエピソード。 武家の娘・お小夜(さよ)のもとを訪ねた盲人の富の市は、なかなか帰る気配がない。 やがて辺りが暗くなり、お小夜たちは鮎釣りに出かけたまま戻らない弟・秀松のことが気にかかる。 お小夜は暮色の戸外に立ち出で、門の前を横切る小川の橋のたもとに佇みながら、秀松の帰りを待つのだった。(タイトルクリックでつづきをよむ)
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黒猫・その1

武家の娘お小夜(さよ)は雄の黒猫を飼っている。 その目に入れても痛くないほどの溺愛ぶりにお小夜の母は、(物語「南総里見八犬伝」の中で犬と結婚した)伏姫を重ねてお小夜を揶揄する。 ある日お小夜の家へ盲人の富の市が訪ねてくる(タイトルクリックでつづきをよむ)
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龍潭譚【全編】

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龍潭譚・その8〜渡船(わたしぶね)

【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その7・九つ谺(ここのつこだま)のつづきエピソード。 謎めいた美女の添い寝を受けながら少年・千里(ちさと)は夢うつつに美女の寝姿に目を凝らす。 うす暗がりの有明に浮かび上がる、仰向けに横たわる整った顔だち。 その守り刀を持った白い手を眺めているうちに、千里は自分の母が亡くなった日の姿と 美女を重ねてしまう。 死の影を払おうとして守り刀に手をかけると、刀の切羽が緩んで血汐がさっとほとばしった。 千里は慌てて流れにじむ血を両手で抑えようとするが、血汐はとうとうと流れ、美女の衣を赤く染めていく。 美女は変わらず静かに横たわっている。 はっと気づいて見定めると、衣を染めたと見えたのは すずしの絹の着物に透けて映った、紅の襦袢の色であった。 日が高く上ったころに目覚めた千里は、昨晩あった老人に背負われて山を降りる。 美女はその後ろをついて歩く。 やがて大沼のほとりへとたどり着き、千里は老人に伴われて小舟に乗る。 一緒にと駄々をこねる千里だったが、美女は気分が悪くなるから、と岸で見送るのだった。 舟は水を切るごとに目くるめくようにくるくると廻る。 岸で見送る美女が右に見え左に見え、千里は前後左右の感覚を失ってしまう―――