幻想怪異譚

幻想怪異譚

黒猫・その4

黒猫・その3の続きエピソード。 盲人の富の市(とみのいち)は盗賊に襲われるが、恐るどころか、金品を奪っても良いから殺して欲しいと盗賊に懇願する(タイトルクリックでつづきをよむ)
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黒猫・その3

【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その2の続きエピソード。 清らかな優しさから盲人の富の市に手を差し伸べたお小夜(さよ)。 卑しい心を催した富の市に引き倒され、手籠にされそうになるが、寸でのところで釣りから帰った弟の秀松(ひでまつ)に助けられる(タイトルクリックでつづきをよむ)
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黒猫・その2

黒猫・その1の続きエピソード。 武家の娘・お小夜(さよ)のもとを訪ねた盲人の富の市は、なかなか帰る気配がない。 やがて辺りが暗くなり、お小夜たちは鮎釣りに出かけたまま戻らない弟・秀松のことが気にかかる。 お小夜は暮色の戸外に立ち出で、門の前を横切る小川の橋のたもとに佇みながら、秀松の帰りを待つのだった。(タイトルクリックでつづきをよむ)
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黒猫・その1

武家の娘お小夜(さよ)は雄の黒猫を飼っている。 その目に入れても痛くないほどの溺愛ぶりにお小夜の母は、(物語「南総里見八犬伝」の中で犬と結婚した)伏姫を重ねてお小夜を揶揄する。 ある日お小夜の家へ盲人の富の市が訪ねてくる(タイトルクリックでつづきをよむ)
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龍潭譚【全編】

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龍潭譚・その8〜渡船(わたしぶね)

【鏡花怪異譚】明治29年発表。龍潭譚その7・九つ谺(ここのつこだま)のつづきエピソード。謎めいた美女の添い寝を受けながら少年・千里(ちさと)は夢うつつに美女の寝姿に目を凝らす。うす暗がりの有明に浮かび上がる、仰向けに横たわる整った顔だち。その守り刀を持った白い手を眺めているうちに、千里は自分の母が亡くなった日の姿と美女を重ねてしまう。死の影を払おうとして守り刀に手をかけると、刀の切羽が緩んで血汐がさっとほとばしった。千里は慌てて流れにじむ血を両手で抑えようとするが、血汐はとうとうと流れ、美女の衣を赤く染めていく。美女は変わらず静かに横たわっている。はっと気づいて見定めると、衣を染めたと見えたのはすずしの絹の着物に透けて映った、紅の襦袢の色であった。日が高く上ったころに目覚めた千里は、昨晩あった老人に背負われて山を降りる。美女はその後ろをついて歩く。やがて大沼のほとりへとたどり着き、千里は老人に伴われて小舟に乗る。一緒にと駄々をこねる千里だったが、美女は気分が悪くなるから、と岸で見送るのだった。舟は水を切るごとに目くるめくようにくるくると廻る。岸で見送る美女が右に見え左に見え、千里は前後左右の感覚を失ってしまう―――
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龍潭譚・その7〜九つ谺(こだま)〜

【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭その6・五位鷺(ごいさぎ)のつづきエピソード。 水浴びから上がった美女は、千里に添い寝しながらいくつかの物語を語る。 やがて二人が居るこの場所が「九つ谺(こだま)」と呼ばれることを千里に伝えた美女は、自らの乳房を千里に含ませて眠りへと誘うのだった。 まどろんでいるところへ天井上、屋の棟あたりから凄まじい物音。美女が毅然と音の主を諌めると、音は次第に静まっていった。 それでも恐ろしさに震える千里に美女は、蒔絵箱から守刀を取り出して見せるのだったーーー。
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龍潭譚・その6〜五位鷺(ごいさぎ)〜

龍潭譚その5・大沼(おおぬま)のつづきエピソード。森の中で気を失ってしまった少年・千里(ちさと)。涼しげな香りに目を覚ますと、柔らかな蒲団の上に身体を横たえているのだった。頭をあげて見渡すと、庭の先には、青々と濡れたように草の生い茂る山懐が広がっている。滑らかに苔むした巌角(いわかど)に浮かび上がる、一挺の裸ろうそくの火影。筧(かけい)から湧き上がるように零れ落ちる水をたらいに受け、一糸まとわぬ美女が向こう向きに水浴をしている。山から吹き下ろす風にちらちらと揺れる火影に映ろう雪の膚(はだえ)。千里の気配に気づいて立ち上がろうとした美女のふくらはぎをかすめて飛ぶ、真っ白い五位鷺。悠然と千里のもとに歩み来た美女は、千里が夕暮れ時に追いかけて殺したのは毒虫だったこと、その毒に触れたせいで顔が変わってしまい、迎えに来た姉が千里に気づかずに去ってしまったことを告げるのだった――――。
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龍潭譚・その5〜大沼(おおぬま)~

龍潭譚その4・あふ魔が時のつづきエピソード。 黄昏時に現れる魔物から逃れるように、社の片隅に逃げ込んだ少年•千里。 そこへ、千里を探す姉と爺やの会話が聞こえて来るのだった。出掛けにいつも行う魔除けのまじないを、今日に限ってしてやらなかった事を悔やむ姉。 姉への恋しさに耐えかねて表へ飛び出した千里。千里を見つけた姉はすぐに手を差し伸べるが、その顔を見た途端「人違い」と告げて去ってしまう。千里は水面に映る自分の顔が別人の如き相貌に変わっている事に気づき、慄くのだった。 絶望感に苛まれながら姉の背中を追いかけて無我夢中で走り回るうちに、木々に囲まれた森の中の大沼にたどり着いた千里は、そのまま倒れ込んで気を失ってしまうーー
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龍潭譚・その4~あふ魔が時(おうまがとき)~

【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その3・かくれあそびのつづきエピソード。 夕闇の古社にあらわれた美しく謎めいた女性。 目くばせされるままに暗がりの片隅へと歩み入ったところで、千里は「黄昏時の暗い片隅には魔物が棲むゆえに近寄ってはならない」という姉の教えを思い出して背筋を凍らせる。 左手にある坂道の底からは闇のような瘴気が立ち上るよう。恐ろしさに身を震わせながら狭い社の中に逃げ込むと、冥界から遣わされた獣が社を横切る気配がする。 魔物から守るために女性が千里を暗がりへと導いたか、と思いを巡らせているところへ聞こえてきたのは、千里を探す使用人たちの声。人か魔か判じることが出来ないままやり過ごしていると、悲しげに千里の名前を呼ぶ、恋しい姉の声が―――